一頭の牛の革(丸革)。それを頭からおしりの方向に切断した革を、半裁といいます。
半分とはいえ、大きな牛の革です。
たたみ一畳よりも大きいです。
レザークラフトとして趣味で扱うくらいだと、そんなに大きな革は使いきれませんし必要が無いでしょう。
でも私が初めて半裁を買ったのは趣味でやっていたころ、しかも趣味で始めたばかりの頃でした。
当時、人生や仕事、将来について常にいろいろ考えていました。
今の仕事は一生の仕事か…本当にやりたいことなのか…向いているのか…何があっても後悔しない生き方をしているか…
考えすぎて落ち込むこともありました。
そんな時、気持ちをガラッと切り替える意味で、「5万円分の何かを買おう!」と思いました。
貯金もほとんどない中の5万円は相当なダメージですが、そのダメージを自分に与えて前に進もうと思ったのです。
その、自分で自分のために企画した面白イベント「5万円分の何かを買おう」が、半裁を買うきっかけでした。
思えば、それがきっかけで革仕事でご飯を食べている今に至ります。
はじめは、5万円でヘルツの鞄を買おうと思い渋谷のお店に行って物色していました。
しかしその道中、既製品ではなく革自体を5万円分買うのも面白いのではないか…!とひらめきました。
たとえ損をしてでも「面白」を選択してしまう性分なので。。
それから数日後、荻窪のクラフト社に初めて行ったときです。
そこで見た半裁革に一目ぼれし、即購入しました。
色はマットな深茶色で厚さは2.5㎜ほど。
タンニン鞣しで芯通しでないためガシガシの硬さ、まさに『THE 革』 でした。
タンニン鞣しで芯通しでないためガシガシの硬さ、まさに『THE 革』 でした。
たたみ一畳以上の大きさです。とてもとても重いです。
電車を乗り継ぎ、大変な思いをして帰ったことを覚えています。
初の半裁購入、そして素敵なタンニン鞣しの分厚い「THE革」にウキウキワクワク!
家に着いてさっそく開封。革の匂いが瞬く間に部屋に充満。
鼻孔を膨らませ、めいっぱいに吸い込むとあぁ極上の香り!
テンションが上がり、上がりすぎて少し食べました。
美味しくはなかったです。(続く→)