革製品製造販売業者、滅亡の危機 4

 前回から日にちが経ってしまいましたが、②-5です。

滅亡の原因②需要減

 革製品需要減の要素はいくつかありそうです。

  1. 若い世代の革離れ
  2. キャッシュレス化
  3. テレワーク化
  4. 人工皮革の質の向上
  5. SDGsわちゃわちゃ

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    ②-5.SDGsわちゃわちゃ

    SDGsを意識した行動が皮革産業に影響を与えることはあるのかな…と考えてみました。

    最近、ヴィーガンレザーが本革の代替素材として話題です。
    ヴィーガンレザーとはよく言ったものでつまり合皮のことらしいです。
    (リネームして価値をつけることができるなんて感心です)

    『動物愛護、環境配慮の両方の観点から、よりサステナブル・エシカルにつながるとして注目されている素材です
    (引用:ヴィーガンレザーとは? 話題のエシカル素材について知る

    とのこと。

    動物愛護と環境配慮の意識が中途半端に強めな方は、本革を嫌い、ヴィーガンレザーを収集することになるのでしょうか。

    ヴィーガンレザーを製造するために機械を動かすので多少なり環境破壊はするでしょうし、そもそも皮革製品に使用される革は食用牛の副産物なのでむしろ本革のほうが動物愛護と言えそうです。

    革とそれ以外の素材で、SDGs的な優劣が明確にはなさそうですので、ブームになった者勝ちかもしれません。

    【SDGs時代の新素材 ヴィーガンレザー】
    VS
    【いにしえからのSDGs素材 リアルレザー】

    どちらでも売り込めそうです。

    ただ、リアルレザーの種類のうちクロム鞣し革は、製造過程で人体に悪影響を及ぼす汚染水が排出されるため、SDGs的に良くありません。

    世界で一般的に流通している大部分がクロム鞣しの革なので、改革は必至でしょう。

    環境にやさしいとされるノンクロム鞣しやタンニン鞣しをSDGs的ブームに乗っけることが、業界が生き残る唯一の方法なのかもしれません。

    なぜなら、ヴィーガンレザーは「環境にやさしい」という観点で世間に売り込むことになるはずだからです。

    それは裏を返せば「本革は環境に悪い点がある」ということになり、行き過ぎると「本革=害悪」という概念が流布されてしまう可能性があるためです。

    今、本革の良さを改めて世間に知ってもらう必要があります。

    このタイミングを逃せば、本革が見直されるまで暗い道を歩くことになります。

    例えいつか見直されたとしても、生産可能な工場が無いなど、立ち上がれない環境になってしまっている怖い未来も想像できます。

    需要減はすでに明白

    ここまで色々な要因を考えてみましたが、考えずとも未来は暗いことがわかる事例があったことを思い出しました。

    日本のある革問屋さんから聞いた話によると、ヨーロッパの革問屋さんがどんどん潰れているとのこと。

    革問屋さんは、革を作るタンナーさんと我々製造業者の間を取り持ち、取引を円滑に進める役割があります。

    しかし世界的に革製品の需要が無くなっているため、製造業者がタンナーから購入する革の量が減少。結果、中間業者である革問屋は無くなってしまったとのこと。

    そのためヨーロッパの製造業者は個人で活動するエージェントを介したり、直接タンナーに赴くのだそうです。

    問屋が潰れる業界が、斜陽産業と言えないわけがありません…。

    それでは私たちは今すぐにお店を畳んだ方がいいのでしょうか。

    ダーウィンの話

    皮革産業は衰退、全滅してしまうのでしょうか。どうすれば生き残れるのでしょうか。

    「生き残る種とは、最も強いものではない。 最も知的なものでもない。 それは、変化に最もよく適応したものである」

    ダーウィンが言ったとされる言葉です。

    よく会社にも当てはめられ、変化し続ける会社のみが生き残る、というような内容でいわれます。

    でも実は…ダーウィンはそんなこと言っていないそうです。。

    本当のダーウィン「あらゆる生き物は変化していて、その中でたまたま生き残ったにすぎない」

    どういうことかというと…

    キリンは、木の葉を食べるために首が伸びたのではなく、首の短いキリンが食料にありつけずに死んだということ。

    つまり、「変化した者が生き残る」ではなく「生き残った者がたまたま死んだ者とは違った」ということ。

    ん?ということは、会社として変化してもしょうがないから、あとは祈って運にまかせろということ?

    たしかに適者生存は結果論であり、運の要素が大きいのかもしれません。

    しかし私たちは人間です。

    生き残るために必要な技術や考えを身につけることができます。

    生き残る確率を上げることができます。

    出来ることはたくさんあります。

    SDGsに対応すること。
    革ブームを起こすこと。
    新しい生活様式にピッタリな革製品を考案すること。
    人工皮革を取り入れ、自社の持つ技術を用いて素晴らしい商品を生み出すこと。

    人事を尽くして天命を待つ。そういうことですね。

    明るい未来

    世界人口は、2021年現在78億7500万人です。

    人口の話になるといつもブルーハーツの「ハンマー」の歌詞を思い出します。

    『48億の個人的な憂鬱 地球がその重みに耐えかねてきしんでる』

    1987年発売の曲なので、当時はまだ48億人だったんだなぁといつも思います。

    私(1985年生まれ)は「世界人口は60億人」と教わってきました。

    世代によってその認識も異なるのでしょうが、まさか78億人になっているなんて驚きです。実感が無いことにも驚きです。

    2050年には97億人に達するとの予測。凄いスピードです。

    人口増は、環境汚染や食糧難などの問題を加速させるでしょう。

    では、明るい未来はないのでしょうか?
    革業界は滅亡してしまうのでしょうか?

    人口増→革製品を使用する母数が増えるということにはならないのでしょうか?

    人口増→家畜増→皮の有効利用→革製品という流れにはならないのでしょうか?

    革製品は人類最古のリサイクル品です。

    人間が存在する限り、革製品は不滅です。

    未来でも必要とされる革製品製造業者であるために、社会を意識して、明るい未来を自らが創るように行動することが大事なのでしょう。

     

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